これまで様々な方に取材をしてきて、新潟県でどれだけの方が野球を支えているか実感してきました。毎月どんな人が、どんな想いで野球に携わっているのか、直接見てお話を聞けることが私にとってすごく楽しみな時間です。
今月は、新潟県の野球少年少女たちを支える「医学界」からの視点を取材させていただきました!他県にはあまりない取り組みをしていることを知り、またひとつ野球を支える方々について知ることができました。
テキスト : NGT48 真下華穂 →プロフィール
新潟には「野球障害ケア新潟ネットワーク」という団体があり、年に1回、オフシーズンの12月に合わせて「ベースボールフェスタ」という大規模な肘などの検診をおこなっています。
今回は、野球肘の選手ケアにあたられている理学療法士の岡邨直人さんに取材をさせていただきました!
野球肘とは、ボールを投げすぎることによって生じる肘の障害のことで、小学生のような成長期に起こる可能性があるものだそうです。
最初は痛みがないため、気がつかないうちに悪化し、手術が必要になる場合も…。そのため、早期発見が重要です。
そのサポートをしてくれるのが「野球障害ケア新潟ネットワーク」。大会の開会式に合わせて毎年「野球肘検診」を行っているそうです。エコーや実際に先生が肘を触診してくれるそうです。そこで重症化しやすい野球肘と診断されるのは100人に2人ぐらい。リハビリやケガをしにくい体づくりまでサポートしてくれるそうです。
私も実際にエコーでの検診を体験させていただきました。検診自体に痛みはなく、短時間で診断してもらえるので小学生でも怖がらずに検診できるのではないかなと感じました。
この検診は定期的に行われます。検診の記録や自分で痛みに気がついた時に記せるように、新潟県青少年野球団体協議会によって「野球手帳」が発行されました。医療機関とチームとの連絡網のような役割を果たすだけでなく、ストレッチやアイシングの方法も載っているため、ケガ予防ができる一冊になっています。
この「野球手帳」、新潟県が初めて作ったものだそうです!小学生、中学生、高校生の様々な野球団体がある中で、全ての団体がひとつになって制作したと聞き、団体は異なりますが、野球をする子どもたちに対して同じ想いで日々活動されているのだと感動しました。
学童チーム「HBCドラゴンキッズ」の監督も務めている岡邨さん。お母さんの当番制を無くしたり、低学年の育成にも力を入れるなど、野球を始めやすく保護者も支えやすい環境を作っています。“Enjoy Baseballで必ず上手くなる”という目標を掲げ、選手が肘や肩を痛めないように、それぞれのレベルに応じて楽しく上達させてあげるために日頃監督を務めているそうです。
最近の野球界では、野球人口が減っていると言われていますが、医療に関わっている岡邨さんは「病院に来る子は減っていない」とおっしゃっていました。ケガをした子が増えたのではなく、10年近く「野球障害ケア新潟ネットワーク」という活動を続けてきたからこそ、「病院=ケガ予防のケアをしてくれる場所」という医療への理解が広がっていきました。
今年の冬も青少年ベースボールフェスタが開かれます。コロナ禍に入る前は、土日で1000人の子どもたちが集まり、野球肘検診と野球教室が開かれ、保護者や指導者に向けて野球をする子どもたちを支えるための研修会も行われていたそうです。
今は検診と研修会のみの開催ですが、これからも野球をする子どもたちがケガをせず、楽しく野球を続けていける環境がこれからも続いていったらいいなと思いました。
〈協力〉