2008年に始めた新潟県内での女子野球普及の活動も、今年で15年目となりました。まさかこんなに長く続けるとは、あの当時のスタッフは私も含め、誰も考えていなかったと思います。
テキスト : 頓所理加 →プロフィール
当時、学童野球チーム(笹山ライオンズ)でコーチをしていた私は、パラパラと見かけるようになった女子選手たちを集めて「女子だけで試合をさせてあげたい」と思うようになりました。男子の中でポツンと野球をしている女の子たちが寂しそうに見えたからというのが正直なところでした。
女の子で野球をする子たちがまだ少ない時代だったので、他にも頑張っている子を知ってもらったり、今後へのモチベーションにもなるんじゃないかと考えました。
2008年の夏「第1回BBガールズフレンドシップマッチ」を企画し、県内の女子選手を集めて初めて大会を開催しました。小学生の女の子だけの野球大会です。木崎球場に集まった64名の女子選手たちの嬉しそうな姿は、今でも忘れられません。
ピッチャーもキャッチャーもショートも女子が守ります。普段は、声出しも男の子がしてくれますが、女の子だけなので自分たちで頑張らないと指示が通らない。恥ずかしそうにしながらも、みんなで言葉を交わし試合を進めていく様子を見ながら「本当にやってよかった」と感じました。
当時はまだ新潟県内に「女子野球」という言葉もなく、このイベント自体も受け入れてもらえるかとても不安でした。でも目の前の彼女たちの姿が、私たちスタッフに「継続させたい」と想わせてくれました。
ないものを形にするのは難しいです。今取り組んでいることもそうですが、なかったことを当たり前にするには時間もかかります。でも、夢や想いは、持ち続けて努力し続けると、何らかの形となり前には進むということを15年間で学びました。
ゴールなんてないし、答えなんてない。言ってしまえば、失敗も成功もない。そこにあるのは夢描く景色だけです。女の子が野球をしやすい環境になり、続けやすくなる。そしていつか、野球は男女関係なく、誰でも楽しめるスポーツになり、愛されるスポーツとして残っていく。そんな景色を今は想い描いています。
15年前、ここまで考えていたわけではなく、あの時は「目の前の彼女たちの為に」これが全てでした。あの日一歩を踏み出したから今がある。とても不思議な気持ちです。
そして、今回のサッカーワールドカップから「諦めない凄さ」を改めて感じました。本当に凄いしかっこいい!実際、どんなスポーツにも見えない壁があるんですよね。そこに向かって信じて突き進む。ここは、みんな同じ。結果が出ればさらにかっこいい。でも、結果にすぐにつながらなかったとしても、諦めず続ける先には、進歩がある。
今の女子野球もまさにまだその途中ではありますが、こうして携われることを幸せと感じながら、これからも一歩ずつすすんでいこうと思います。